青色申告と白色申告の違い
個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。
個人事業主となると確定申告が必要となりますが、確定申告には、青色申告と白色申告の2種類の申告方法があります。それぞれの申告方法には、メリットとデメリットがありますが、以下で説明していきます。
青色申告とは
あらかじめ税務署に対して青色申告で確定申告を行うことを申請した上で、毎日の個人事業の取引を複式簿記の方式で帳簿へ記録し、所得を申告する方法です。
青色申告のメリット
- 青色申告特別控除(最高65万円)
- 赤字が繰り越せる(3年間)
- 家族への給与が経費にできる
もう少し詳しく説明していきます。
青色申告特別控除(最高65万円)
青色申告のルールに従った記帳と、関係書類の保存をすることで、個人事業で生じた所得から最高65万円を控除することができるため、青色申告を行うことで節税することが可能です。
赤字の繰越し、黒字との相殺(3年間)
赤字を確定申告することによって、その赤字額を向こう3年以内に稼いだ所得と差し引くことができます。「独立した当初は赤字だったものの、その後は売上が伸びて黒字になった」という場合に、黒字年度の税金を抑えることができます。
家族への給与が経費にできる(青色事業専従者給与)
個人事業主と同じ生計の 配偶者(夫/妻)と 親族(祖父母/15歳未満を除く子供)の給与分を全額必要経費とすることができます。
貸倒引当金
不測の損害に備えるという名目で、売掛金、貸付金、未収金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、貸倒引当金を設定することができます。わかりやすくいうと、その年の売掛金、貸付金、未収金などの金額を、貸倒引当金として「経費」にすることができるため、所得を少なくすることができます。
青色申告のデメリット
一方、青色申告のデメリットは、主に以下です。
- 税務署に対して、事前に届出が必要
- 帳簿をつけることが面倒
- ある程度、会計の知識が必要となる
(多くの個人事業主は、会計ソフトを利用することで対応している)
白色申告とは
あらかじめ税務署に対する届出などは不要で、単式簿記を使って帳簿(家計簿やお小遣い帳と同じように簡単なもの)を作成し、所得を申告する方法です。青色申告を申請していなければ、自動的に白色申告となります。
白色申告のメリット
- 届出の必要がない
- 帳簿づけが簡単なので、会計の知識はそれほど必要ではない
白色申告のデメリット
- 青色申告のような特典がなく、節税効果が少ない
青色申告と白色申告の比較
青色申告と白色申告には、以上のようなメリットとデメリットがありますので、主な違いをまとめてみました。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
記帳の義務 | 複式簿記による帳簿の記帳が必要 | 単式簿記(家計簿レベル)による帳簿の記帳が必要 |
決算書の作成 | 「貸借対照表」「損益計算書」 | 「収支内訳書」 |
特典 | 最大65万円の特別控除 | 特典なし |
家族への給与 | 家族の給与は全額経費となる | 配偶者ならば86万円 配偶者でなければ1人50万円 |
赤字の繰越 | 赤字を翌年以降3年間の黒字から差し引くことができる | 赤字の繰り越しができない |
申請手続 | 税務署に「青色申告承認申請書」を提出する。家族に給与を支払う場合は、「青色申請事業専従者給与に関する届出書」と「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出する。 | 申請は必要なし。青色申告を申請しなければ自動的に白色申告となる。 |
青色申告と白色申告のまとめ
上記のように、白色申告は税務署に対する届出が不要で、申告書の作成も簡単なことから、個人事業の売上が少ない場合には、メリットがあると言えるでしょう。個人事業の売上が少ない場合には、経費もそれほど必要ではありませんので、より簡単にできる白色申告のほうがメリットがあります。
一方、個人事業の売上が増えてくると、今度は税金が多くなってくるため、青色申告で確定申告を行い、青色申告の節税メリットを最大限に生かすほうが得策です。
ただし、青色申告にする際に注意が必要なのは、その年の売上が多くなったため、年末になって急に青色申告を行おうと思っても、青色申告での確定申告は残念ながら認められません。
青色申告は、青色申告で確定申告を行おうとする年の3月15日までに、所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければ認められませんので、ある程度の売上が見込めるようになったら、事前に申請をしておきましょう。
また、青色申告を行うとなると、最低限、会計ソフトは使わざるを得ないと思います。よっぼど簿記などに自信がある人は別ですが、ほとんどの個人事業主が会計ソフトを利用するか、税理士に任せています。
最近の個人事業主(フリーランス)が利用している主な会計ソフトは以下です。
- MFクラウド / 株式会社マネーフォワード
(税抜800円 /月、税抜8,800円 / 年) - クラウド会計ソフト freee / freee株式会社
(税抜980円 / 月、税抜9,800円 / 年) - やよいの青色申告 / 弥生株式会社
(1年目:税抜6,000円 / 年、2年目以降:税抜12,000円 / 年)
たいていの会計ソフトには、無料の体験期間がありますので、自分に合うかどうか、早めに試してみて、早く会計ソフトに慣れるようにしておきましょう。
会計ソフトはどうしても苦手という個人事業主は、税理士ドットコムで、税理士を探してみましょう。何度でも無料で税理士を紹介してもらえます。