従業員を雇用する
個人事業主でも、従業員を雇うことができます。
事業が拡大するにつれ、従業員を雇用する必要が出てきますが、従業員を雇用すると様々な手続きや義務の責任が発生します。
人を雇用する以上、事業拡大や節税のメリットだけではありませんので、十分に検討が必要です。
まず、従業員を雇用した場合(家族を含め)は、事業主は源泉徴収義務者となり、従業員の給与から所得税を源泉徴収して税務署に納税する必要があります。
また、パートやアルバイトを含めて従業員を一人でも雇用すれば、業種・規模の如何を問わず、労働保険(雇用保険と労災保険)に加入しなればなりません。
さらに、常勤の従業員が5人以上いる場合には、社会保険(健康保険と厚生年金)の適用事業所となり、社会保険に加入しなければなりません。ただし、第一次産業(農林、水産、畜産業)、接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、映画館、理容業等)、法務業(弁護士、税理士、公認会計士、社労士等事務所)、宗教業(神社、寺院、教会等)の場合、社会保険への加入は任意となります。
開業届け - 従業員(家族従業員を含む)を雇用する場合
従業員(家族従業員を含む)がいる場合は、開業手続きが大幅に増えます。
提出先 | 対象者 |
提出書類 | 提出期限 |
---|---|---|---|
税務署 | 全員 |
個人事業の開廃業等届出書 | 開業日から1ヶ月以内 |
希望者のみ |
所得税の青色申告承認申請書 | 開業日から2ヶ月以内 (注) |
|
家族に給与を 支払う場合 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | ||
従業員を雇う場合 (家族を含む) |
給与支払事務所等の開設届出書 | 給与の支払い から1ヶ月以内 |
|
従業員10人未満 で特例を希望する 雇用主 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時 |
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希望者のみ |
所得税のたな卸資産の評価方法・ 減価償却資産の償却方法の届出書 |
開業した年度の 確定申告期限まで |
|
労働基準 監督署 |
従業員を雇う場合 |
労働保険関係成立届 | 雇用してから10日以内 |
労働保険概算保険料申告書 | 雇用してから50日以内 |
||
ハロー ワーク |
従業員を雇う場合 |
雇用保険適用事業所設置届 | 雇用してから 10日以内 |
雇用保険被保険者資格取得届 | |||
社会保険 事務所 |
従業員が5人以上の場合 |
新規適用届 | 従業員が5人以上に なった日から5日以内 |
新規適用事業所現況書 | |||
被保険者資格取得届 | |||
健康保険被扶養者届 |
(注) 1月1日〜1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日までとなります。
従業員がいない場合と比べて、税務署では、青色専従者給与に関する書類、給与支払事務所開設に関する書類、従業員の源泉徴収税に関係する書類が増えます。
また、労働保険(雇用保険と労災保険)に加入する必要があるため、労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)に書類を提出する必要があります。
さらに、社会保険の適用事業所となる場合は、社会保険事務所に書類を提出する必要があります。
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