個人事業の所得税

個人事業主の所得税

所得税とは、個人事業主が1年間に稼いだ所得(利益)に対して課される税金です。

個人事業主が1年間に稼いだ所得(利益)にかかる税金です。売上から経費や控除を引いた課税所得に対して課税されます。

所得税は、個人事業主の税金の中でメインとなる税金で、所得に応じて税率(5〜45%)が決まっています。所得の金額が高ければ高いほど、税率も高くなる累進課税が採用されています。

個人事業主は、自分で所得を計算して国(税務署)に税額を申告する必要があります。これを確定申告と言います。その分、個人事業主には多くの「経費」が認められています。

なお、所得税は、サラリーマンであっても支払っています。本人が自覚しているかは別として、実は毎月の給与から源泉徴収という形で会社が代わりに所得税を徴収して、その後、従業員の所得税を会社が一括して納税しています。

所得税は所得にかかる税金のため、経費が多くなれば(所得が下がれば)、当然所得税も少なくなります。このように経費が認められることは、個人事業主のメリットのひとつです。

所得と収入(売上)の違いについて

所得とは、会社でいうところの利益です。所得=収入・売上ではありません。収入から費用(経費)を差し引いた利益(儲け)を所得といいますので、注意してください。

※所得=収入−経費

所得税の納付時期と納付方法

所得税は、毎年1/1から12/31までの1年分の所得を自分で計算し、翌年の2/16〜3/15までの確定申告の期間中に、所轄の税務署に対して確定申告を行います。

所得税の納付は、確定申告で計算された納税額に基づき行いますが、所得税の納税の期限は、原則、確定申告書の提出期限と同じ日(原則3/15まで)となります。

所得税の納付は、主に以下の方法があります。

今は、 インターネットやクレジットカードで、所得税を納付できるようになっています。便利な世の中です。

なお、取引先により事前に収入から所得税が源泉徴収されている場合には、必ずしも確定申告の際に所得税を納税しなければならないわけではありません。むしろ、確定申告を行うことによって、支払い過ぎた所得税が返ってくる場合があります。

所得税の計算方法

所得税の計算方法について説明します。

所得税 = (収入−経費−所得控除ー青色申告特別控除)× 税率−税額控除

収入 事業などの報酬として支払われた金額。サラリーマンでいうところの年収のこと。
経費 事業に必要な家賃・設備費・消耗品費・旅費交通費・会議費などの費用のこと。
所得控除 所得から差し引くことができるもの。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・医療費控除など14種類の控除があります。詳しくは所得控除一覧を参照してください。
税率 課税所得の金額が高ければ高いほど、税率も高くなる累進税率という課税方法が採用されています。最低5%〜最高45%の段階に区別されています。
税額控除 課税所得に税率をかけて算出された所得税額から、さらに一定の金額を控除してもらえます。配当控除や住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)などがあります。税率をかける前の所得控除より、所得税額から直接差し引く税額控除の方が納税額にかなりのインパクトがあります。詳しくは税額控除一覧を参照してください。

詳細は以下の通りです。

まず、事業などの売上を算出します。

次に、売上から事業に必要な家賃、設備費、消耗品費、旅費交通費などを必要経費を差し引きます。

次に、所得控除について算出します。所得控除の主なものは、基礎控除38万円、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除などですが、これらの控除の合計額を計算し、売上から差し引きます。

さらに、青色申告で確定申告を行う場合には、最高で青色申告特別控除65万円が控除されます。

このように、売上から経費と所得控除と青色申告特別控除を差し引いた金額のことを「課税所得」と言いますが、所得税はこの課税所得が基準になります。

課税所得=売上−経費−所得控除ー青色申告特別控除

このように売上から家賃や水道光熱費、文房具などの消耗品などの経費と、所得控除と青色申告特別控除を差し引いたものが「課税所得」ですが、経費の額は事業によっても全く異なります。フリーランスのように自宅で事業をしていて、原材料や商品の仕入れなどがない場合は、経費が少なくなり、課税所得が多くなりますが、飲食業や小売業のように、店舗を借りて、原材料や商品の仕入れをすれば、経費は多くなるため、課税所得は少なくなります。

次に、所得に対して税率をかけますが、所得税の税率は、個人事業主の所得額によって変化します。

所得税は、所得額が大きくなればなるほど、所得税の税率が高くなるようになっていますが、これを累進課税と言います。具体的には下の表のようになっています。

所得に対する税率と納税額の目安
(課税)所得 税率 控除額 所得税の金額 (納税額)
195万円以下 5% 0円 0円〜97,500円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円 97,500円〜232,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円 232,500円〜962,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円 962,500円〜1,434,000円
900万円超〜1800万円以下 33% 1,536,000円 1,434,000円〜4,404,000円
1800万円超〜4000万円以下 40% 2,796,000円 4,404,000円〜13,204,000円
4000万円超 45% 4,796,000円 13,204,000円超

参考:国税庁(タックスアンサー)

最後に、税額控除を差し引きます。

税額控除の対象となる住宅ローンがある場合(住宅借入金等特別控除)や寄付(政党等寄付金特別控除)を行った場合、株式の配当がある場合(配当控除)など、税額控除の対象となるものがある場合は、課税所得に税率をかけた金額から税額控除を差し引きます。

課税所得に税率をかけた金額から税額控除を差し引いた金額が、所得税の金額です。

所得税 = 課税所得× 税率−税額控除

よくテレビなどで有名な芸能人やスポーツマンが「税金が高くて半分も持って行かれた・・・」と言っていますが、これは主に所得税が影響しています。所得が1,800万円以上ある高額納税者になると、所得税の税率が40%以上となります。さらには、所得税以外にも、住民税などの税金がかかってきますので、高額所得者は「収入の半分が税金に持って行かれた」となるわけですね。私達、庶民にはよくわからない感覚ですが・・・



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所得税シュミレーション

だいたいどれくらいの課税所得で、どれくらいの所得税になるのか、個人事業主にとっては大変気になるところですので、一般的な以下のようなケースで、所得税の金額を計算してみます。

・売上500万
・経費140万
・所得控除110万(基礎控除38万+配偶者控除38万円+社会保険料控除24万+生命保険料控除10万)
・税額控除なし
・青色申告者(65万円)

上記の場合、課税所得は「課税所得=売上−経費−所得控除ー青色申告特別控除」ですので

課税所得は、売上500万ー経費140万ー所得控除110万ー青色申告特別控除65万=185万となります。

課税所得が185万の場合、所得税の税率は5%(上記の税率を参照)ですので、

所得税は、185万×5%ー控除額0円=92,500円となります。

もし税額控除があれば、所得税92,500円から税額控除の金額を差し引きますが、今回の税額控除は「なし」ですので、所得税は、変わらず、92,500円となります。

上記のように、売上500万、経費140万、所得控除110万、青色申告特別控除あり、税額控除なしの場合の所得税は、92,500円となります。

上記と同じ条件で、青色申告ではなかった(白色申告の)場合だと、所得税は152,500円となりますので、所得税を60,000円多く納税しなければならなくなります。

このように、青色申告だと節税メリットが大きいため、ほとんどの個人事業主が青色申告で確定申告を行っています。

参考として、上記の表の右側に、所得税の金額(納税額)を記載しました。自分の課税所得がわかれば、だいたいどれくらいの所得税が必要なのかが、一目でわかるようにしましたので参考にしてください。

以上、個人事業主の所得税を見てきましたが、確定申告を行う場合、最低限、会計ソフトは使わざるを得ないと思います。よっぼど簿記などに自信がある人は別ですが、ほとんどの個人事業主が会計ソフトを利用しています。

最近の個人事業主(フリーランス)が利用している主な会計ソフトは以下です。

たいていの会計ソフトには、無料の体験期間がありますので、自分に合うかどうか、早めに試してみて、早く会計ソフトに慣れるようにしておきましょう。

会計ソフトは苦手という個人事業主は、税理士ドットコムで、税理士を探してみましょう。何度でも無料で税理士を紹介してもらえます。

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